競プロでの自己肯定感の保ち方
この記事は
競技プログラミングを始めたばかりの人に伝えたいこと 17日目の記事です。
- コツとかノウハウ的な話は、他の方が沢山されてるので…
- 競プロでハマりやすい(?)、モチベや自己肯定感的にキツいアレの対策について
はじめに
自分は競プロを始めたのが、業プロ歴7年目くらいの頃でした。
仕事は人並みに忙しい程度、小さい子供が2人。
元々は音ゲーを中心に、隙あらばゲームしてましたが、段々できなくなってきたな・・・
元々オフでのお勉強は、気持ち程度にしかできてなかったけど、それはもっとできなくなってきたな・・・
とか思ってた頃に、機会あって競プロを知りました。
成長速度は、決して早い方ではなかったし、モチベというか自己肯定感が保てない時期(平たく言うと凹む)も、正直ありました。
それを振り替えって「どういう考え方をすると折れずに済むか(マイペースに楽しめるか)」的な話です。
なぜ凹むのか
始めたばかりの方は「みんな当たり前のように解き過ぎだろ!」とか、
少し続けていると「みんな成長早すぎでは?」とか、色々思うことがあると思います。
何らかの開発経験で自信を持って参戦すると、余計思いやすいかもしれません。
競プロは相対評価の成績であるレートの存在感が大きく、性質上、みんなと自分を比べやすいため、
気を付けないと自分が劣っている部分が目立って、凹みに繋がるような気がしています。
更に、競プロは、参加者の属性も広く、熱意も素質も立場も、本当にバラバラです。
何が有利不利かは置いといても、比べても仕方ない全然違うタイプの人と、つい比べてしまうこともあるかも。
なぜ成長速度の差が生まれるのか
その要因を少し考えてみると、以下があるような気がします。異論あるかも。
- 解いた問題数(最も支配的?)
- 数学の得意不得意
- あてられる時間
- プログラム開発経験
- 地頭の良さ的なやつ
- 熱意やら目的意識
- 身近な同レベルの仲間の存在
この辺って、改善が(短期間には)難しいもの、が結構多いと思います。
ふと競プロを始めた瞬間においては、ある意味、「たまたま自分が持っていたかどうか」みたいな、ガチャ的な面もあると思います。
それゆえ、成長速度が全然人によって違って、緑になるのが1か月の人、半年の人、1年の人、2年以上の人・・・いろいろいます。
この辺は、速い遅いの結果だけを眺めていると、見落としがちだと思います(大概、知りようもない)
見方を変えてみる
ということで、競プロの性質上、成長が早い部類ではない人が、うっかり他人との比較をし過ぎると、簡単に凹めてしまいます。
しかし、ここで忘れがちな事実がありまして。
この「自分は弱い」凹みの文脈には「競プロにコンスタントに取り組んでいる人間の中では」が隠れています。
「競プロにコンスタントに取り組んでいる人間の中では」というのは世間の平均値なのでしょうか?たぶん否です。
競プロをやるとは、こういうことだと思いますが
- アルゴリズムの勉強・習得
- 数学の復習
- 言語仕様や計算量の追求
- 開発環境や効率化ツールの整備
- とにかく精進する
- 関連書籍を読む
- 何より週末夜に何時間もコンテストに張り付く
こういったことは世間のみんなが当たり前にやっているか?というと、そうでもないと思います。
母集団にもよりますが、情報系学生、ソフト系開発部門、においても、コンスタントにこういった、何らかの技術の習得のために、オフの時間をたくさん費やしている人間、というのは、結構限られると思います。
(「いや、最低ラインだろ」という大学も企業もあるとは思いますし、実際の比率は分かりません。ただ、そういった努力ができる人間は、実は世間では、そこまで多くないんじゃないかと感じてます。私見です。)
肯定的にとらえてみる
だとすると、まず、「競プロにコンスタントに取り組んでいる人間」でいるだけで、一つ頑張っている自分を褒めてもいい、と思います。
もちろん、競プロでない何かでもいいのですが、何もなく漫然と過ごしていた頃と比べると、何かに取り組んでいる現状は、既にえらいような気がします。
また、成長が遅いのが事実だとしても、それは「競プロの成長に有利な要因が、競プロ参加者の中では少ない方である」でしかなくて、何か自分の人間性や頭脳全般が劣っている、ような捉え方はしなくてもいいはずです。
いろいろな要因がある中で、レートに表れにくい中ででも、継続できていること自体がすごいともいえそうです。
それから、これは根拠のない私見ですが「教材や情報も充実していき、参加者全体が成長していく中で、少なからず全体レベルが上がっていき、同じパフォーマンス・レートが意味する絶対的な強さが変動していく」という背景もありそうです。
そうだとすると、平均的にはみんなが精進していて、「平均強さ」が上がっているかもしれません。自分の成長が人並みだとすると、レート上は「停滞」に見えるかもしれません。
そう考えると、停滞とか、緩やかに減少くらいだと、自分の絶対的な能力は、下がっているわけではないかもしれません。
結論
こんな感じで凹む材料以上に、「実は自分だって結構頑張ってない?えらくない?」と自分を肯定する材料もあるので、マズいと思ったら視点を変えて褒めてみましょう、というお話でした。
おまけ:音ゲーと絡めた方が分かり易かったかも
ここで、完全に私見ですが、競プロにおける実力の捉え方が、音ゲーと似ているな、と常々思うので、ちょっと紹介。
ビーマニには絶対的な実力指標として、「段位認定」があります。詳細は端折ります。
この段位の内訳について、集計されてる方の記事を引用します。
7級~十段~中伝~皆伝と20クラスほどあるわけですが、有段者の内訳でいうと、なんと九段以上が40%以上を占めます。七段以上というと、70%に近くなります。
実際、ふらっとゲーセンに行くと、見かける人の割合って、割とこの感覚に近いです。
なお、難易度で言うと、当然ですが、本当に初めての人は、多くの場合7級も無理ですし、ちょっとやってれば毎日昇級するほど簡単なゲームでもないです。
音ゲーに無縁の人からすると、初段あたりで、すでに「だいぶ常軌を逸脱した動き」になってるようにも思います。(凡人の感想です)
音ゲーと競プロは、精進が本質、実力の数値化、みたいな部分で、まあまあ近いところがあって、音ゲーマーが競プロはまりやすい傾向があるように思います(私見です)
ただ、大きく違うのは、「音ゲーは一部を除いて、実力指標は絶対評価」「競プロは一部を除いて、実力評価は相対評価」というところです。
音ゲーを無理やり相対評価にすると「上から30%付近の人が集まる十段=緑レート」とかになるかもしれません。
十段は、例えばこういうのがそれなりに捌けるレベルであり、かなりの長期間、熱心に修行して到達できるものです(凡人の感想です)
※引用して問題なさそうな動画なだけであって、この方は十段どころかビーマニ界のtouristさん的な方です
何が言いたかったかというと
「みんなが精進している環境の中で、相対評価で出てくる成績というのは、めちゃくちゃ厳しく出ている可能性があり、低くてもガッカリしなくてよい。そもそも修行の世界に立ち続けているだけで結構すごい」
ということです。
未経験の人(だったあの頃の自分)から見て、それなりに出来ることが増えた感覚がありながら、(何となくほしいイメージのある数値や色に対して/周囲の人の成長速度に比べて)「自分が弱い」とえぐってしまうのは、よろしくないです。
ぜひ、レートだけではなく、絶対的な指標だったり、過去の自分との相対評価だったり、そういった視点からも自分の成長や実力を眺めるようにすると、自己肯定感を保ちやすくなると思います。
ひいては長く続ける趣味に、持ち込みやすくなると思います。よき修行の旅を。。。